
里親活動は子どもを温かい家庭で健やかに養育することです
みんなで子育てをしてみませんか
昨年の秋、こんなことがありました。自宅からあまり遠くない道路を、向こうから一人の少女が何気なく歩いてきました。と、その少女はやがてピタッと足を止めてしまい、妻の方をじっと見据えるや否や、「あっ、ヒノママだ!」と思わず大きな声を上げ、一目散に走ってくるなり強い力で抱きついてきました。一瞬の出来事に、初めは何が何だか分からなかった僅かな時が過ぎ、やがて忘れていたあの思い出が甦ってくると共に、大きな驚きへと変わっていきました。
あれは確か7年前の事でした。ひとり親家庭で親が病気入院のため、4歳の女の子を預かることになり、数ヶ月A子と生活を共にしました。ひとり親家庭ゆえに一時的とは言え、親の元から離された小さな子どもの心境はどのようなものであったか、当時里母の心も揺れ動いていた事を思い出します。
昼間はあんなに元気であったA子も、夜になると決まってしんみりし、里母が「お父さんもがんばっているから、A子ちゃんもがんばろうね。」と言うと、「A子はもうがんばれない。」と消え入るような声で泣いていました。そんなA子も、昨秋はもう小学校最後の年となる年齢になっていました。
さて、我が国の社会構造、経済構造は大きく変化し、出世率や婚姻率が約40年間で半分に低下する一方、離婚率や母子世帯は2倍近い状況になっていると報じられています。昔は企業や家族がセーフティーネットの役割を果たしていたのが、今はその余裕すらなく、家庭環境は厳しさが増すばかりとなってきました。
ある日突然親の職が不安定になる家族、あるいは健康を損なってしまった一家の柱など。各家庭の多くが核家族化している現状は、かつては考えられない深刻な状況へと広がって行きます。その歪みから、残念ながら親との安定した生活が保障されない子どもたちには、一定期間社会全体で力を出し合い、温かく迎え入れる新たな家庭を保証しなければならない時代となってきました。
これからの里親制度は、今まで主流となっていた養子縁組や、長期養育ばかりではなく、緊急保護への手助け、実親引き取りまでの養護、そして被虐待児童の養護・支援など、時代が求めている社会的養護の方向に添った幅広い里親活動が必要であり、精査される時代となってきているのではないでしょうか。
埼玉県の里親会活動は、このような取り組みを積極的に取り入れ、資質の向上並びに利用者へのサービスを実施してきた所ですが、まだまだ十分とは言えず、今後の重要な課題となっていくことでしょう。大人社会の一員たる里親が、訳あって子育てが困難になった家庭に代わって、子どもたちの健やかな成長を願い、子育てにかかわることは本当に素晴らしいことであり、また、当然の事と受け止めて行きたいものです。
そのためにも、今後、県並びに児童相談所、各市町村、里親会4者が一層緊密なる連携を計りながら、特徴ある埼玉の里親制度の充実をお願いし、努力を重ねて参る所存です。
埼玉県里親会のホームページを検索され、里親制度の概要、埼玉県里親会と各支部の活動、関係機関の紹介など、お気軽にご利用いただき、里親制度に一層のご理解とご関心をお寄せ下さいますことを、関係者一同心からお待ちしております。
|